風しん抗体価検査について

皆さん、こんばんは。糸魚川こどもクリニックの渡辺です。突然市役所から届いたクーポン券、いったいなんのこっちゃと思われた方はいらっしゃらないでしょうか。本日はそのクーポンの説明を行いたいと思います。

ローバーミニを乗りこなすシティーハンターの冴羽亮は自分の憧れの人物でした

北条司のシティーハンターが起用されたこのポスターをご覧になられた方はいらっしゃいますか?これこそ、今回のクーポン券が大きく関わっているポスターです。そもそもなぜ男性だけに、なぜ特定の年代の方に配布されたのでしょうか。

・風しんと言う疾患をご存じでしょうか

風しんはかぜと同じような症状と発疹(ほっしん)が現れる感染症です。三日はしかとも呼ばれ、命を奪うこともある麻しん(はしか)と比べると軽症で自然に治ってしまう感染症です。風邪(かぜ)などとの区別が非常に難しく、診断を確定するには血液検査が必要になります。1960年頃までは殆どの方が小さい頃に発症するありふれた疾患でした。

・その風しんの何が問題なんでしょうか

確かに、何事もなく治ってしまう風しんよりもインフルエンザの方が恐ろしい感染症と思われます。しかし、風しんウイルスに感染して困るのはこれから生まれてこようとするあかちゃん(胎児)なのです。妊娠後、子宮で胎児が成長する途中、母親が風しんに罹患してしまうと胎児にも風しんウイルスが感染してしまいます。その結果、成長途中の胎児の心臓、目、耳に異常を来たし、生まれて来たあかちゃんに障害を引き起こしてしまいます。これらを先天性風しん症候群と呼びます(発達障害、発育遅延を合併することもあります)。この疾患自体の根本的な治療は現在の医療では残念ながらありません。

・先天性風しん症候群を予防するためにはどうしたらいいのでしょうか

風しんの抗体を持ち、風しんを発症させないことで予防することができます。従来は『女性のみ』が定期接種(風しんワクチン)をされ、妊娠が判明された場合に『女性のみ』風しん抗体検査をされて発症を防いで来ました。しかし、2012年を皮切りに風しんが大流行してしまってから、先天性風しん症候群に苦しめられる方が増えてしまいました。つまり従来の女性だけにがんばってもらう方針では予防に限界があることが明らかになったのです。そこで、厚生労働省は大流行時に風しんを発症された方の殆どが30代前後の男性で、ワクチン接種をされていない(または一度のみ接種)の世代だったことに着目し、対象者を絞って抗体検査、必要であればワクチンを接種するようにと方針を打ち出したのです(2006年以降は1歳、5歳の時に麻しん風しんワクチンを接種するのが定期化されましたので若い方の発症は殆どなくなりました)。

皆さんの身近にクーポンを受け取った方がいらっしゃる場合(可能であれば出産を希望されるお母さん、ワクチン歴が不明なご家族の皆さん)には抗体検査を勧めてあげてください。もちろん、当院でも検査は可能です。今も尚、先天性風しん症候群のために日常生活を営むのが大変な方々がいらっしゃいます。あなたとあなたの大切な人を守るために、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

(了)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です