百日咳報告(糸魚川市内、第一例)

皆さん、こんにちは。糸魚川こどもクリニックの渡辺です。さて、本日はタイトルにもあります通り、百日咳のお話しです。

先日、当クリニックに咳がひどくて眠れないという小学生の患者さんがお見えになりました。一度咳をすると止まらないくらい続くということで百日咳の検査をしたところ、翌日になって検査委託業者から「陽性です(百日咳菌が居ました)」という報告を受けました。お隣の上越市でも先月から罹患者増加中、ということですのでしつこい咳が続く方は医療機関受診をお勧めします。適切な診察、必要に応じた検査、抗菌薬の内服で治療できますのでご安心ください。

ところで、百日咳とは何なんでしょうか。読んで名の如く、一度発症すると咳が治るまでに約3か月間(100日間)要するという疾患です。特に乳児が罹患すると咳発作で呼吸が止まってしまい命を落とすこともあります。しかし、最近は百日咳で命を落とした乳児がいるというニュースは聞かないと思います。なぜなら、1960年代以降に生まれた皆さんは幼少時に予防接種を受けていらっしゃるからなのです。ワクチンって本当にありがたいですね(問題:百日咳の含まれるワクチンの名前をご存じですか、答えはブログの最後に掲載します)。

ところが、この幼少時に得られた抗体(免疫)は年を追うごとに減っていきます。なんと過去の全国調査では小学校の低学年頃で最も減少しその後に少しずつ増えていくということが判明しました。いったん減ったはずの抗体が増える、これは自然界では起こりえないことです。では、なぜこのような現象が起こったかというと、抗体を失った小中学生が再び百日咳に罹患してしまい新たに抗体を作り始めたからだと推察されています。予防接種をすることで命を落としかねない乳幼児は百日咳を発症しないのに、小中学生になると百日咳に苦しめられるという変わった状況になってしまったのです(知らぬ間に罹患し、知らぬ間に治ってしまうのですね)。

☆上図 www.falco.co.jp/business/41-014-2.pdf から引用☆

そこで立ち上がったのが日本小児科学会です。就学前に百日咳のワクチンを追加接種して、就学後も百日咳から子どもたちを守ろう!という運動が始まりました。下記に平成30年度8月に更新された予防接種スケジュールを添付いたします。

☆上図 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール最新版☆

残念ながら、就学前後の百日咳を含むDPTワクチンの追加接種は現時点では定期接種ではなく任意接種となってしまうために皆さんの負担となってしまします。しかし、小さなお子様(特に乳児)が居るご家庭や、新しい家族が増える、または増える予定であるというご家庭ではお父さん、お母さんも予防接種をご検討ください。ご自身の発症した感染症が子どもに感染して、子どもがつらい思いをする(最悪の場合は亡くなってしまう)なんて考えたくもないですからね。

末筆となりますが今月は3連休が多くてお出かけ日和です。こんな素敵な時期ですので皆さんも体調など崩されませんように、どうぞご自愛くださいませ。

(了)

 

クイズの答え

Q 百日咳を含むワクチンの名前

A 三種混合ワクチンまたは四種混合ワクチン