小児神経学会 学術集会を終えて(3)

本日は感銘を受けた講演のお話しをしようと思います。最近不眠症という方はぜひご一読くださいませ、確実に眠れます。

 

(1)発達障害のこどもの脳を育てるSPARK運動療法

運動療法は昨今の小児神経学会でも論文件数が増えている分野です。簡単な理屈は以下の通りです。運動をすることによって広範囲の脳内の神経細胞が活性され、さらに運動後しばらくは脳内の血流が良好になります。この状態が脳全体にプラスに作用するのではないか、と研究者たちが予測し調べていったらまさにその通りだったのです。

これを医療に応用できないかと目を付けたところ、アスペルガースペクトラム障害(ASD)、注意欠陥多動症(ADHD)といった発達障害を持つ児では、運動療法を取り入れたことで、他者とのトラブルが明らかに減り、固有の症状が改善されたと報告されています。

もちろん、そうではない方でも、運動療法を取り入れることで前頭連合野、脳梁の神経線維が増え、記憶をつかさどる海馬の体積が増え、地域ぐるみでプログラムを組んだところでは暴力などの事件も減ると報告されています。アメリカ合衆国の研究では学生に対して、運動をする群としない群とでテストの成績を比較したら、運動している群の方が結果が良かったと報告されています。最近物忘れがひどくてというそこのあなた、是非とも運動療法をお勧めします(調子に乗ってごめんなさい)。

キツイ運動をする必要はありません。『胸が高鳴り、楽しくて、他の人ともできる、室外』での運動であれば構いません。但し、雨乞いダンスはみんなで楽しく胸がときめくかも知れませんが、外に出れなくなってしまうので今回の治療には適しません。

自分は運動が嫌いな人間ですが、これからはタクシーや自家用車に頼ることなく自分の足で目的地に向かおうと心に決めました。三日坊主になりませんように。

 

(2)脳梗塞、脊髄損傷の最先端の治療

脳、脊髄と言えば神経細胞の集合によってなる、機械でいうコードのような集合体です。脳という電源から、脊髄というコードを通じて信号が運ばれて、筋肉という機械が動きます。この神経細胞は死滅したらばそのままで、脳梗塞や脊髄損傷には治療方法はないと言われておりました。叩いたら壊れたテレビが直ってしまうことがあるのは、今回は除外してください。

その一方で、人間の骨髄の中には、どんな組織にでも変化することのできる幹細胞(かんさいぼう)という万能な細胞が(少数ではありますが)存在します。この細胞は傷害を受けた組織に集まりやすく、修復に貢献する性質を持っています。

そこに目を付けたのが北海道のとある大学附属病院の医師です。骨髄の中の幹細胞を取り出し、試験管で増やして、その性質を活かして急性期の脳梗塞や脊髄損傷を治療できないかと考えたのです。細胞実験、その後に動物実験、そしていよいよ臨床治験となりました。治療方法は、脳梗塞(脊髄損傷の治験はその後で行われました)を発症してしまった患者様、その方の腰の骨から幹細胞を採取して増殖させます。十分に量が増えた幹細胞を静脈の中に投与(移植)したのです。

結果は素晴らしいもので、強い麻痺があった患者様でも投与(移植)後から効果が現れ、完全とまではいかないものの、従来のリハビリだけの治療よりも回復することが判明しました。すごいものです、手を持ち上げられなかった人が笑顔で万歳したり、体を起こすことすらできなかった人がスキップして退院するなど、医学の、いやいや、研究者たちの飽くなき探求心にただただ感動してしまいます。

(3)高機能自閉症における内部モデルの特異

(4)Brain-machine-interfaceによる脳卒中の治療

(3)計算式から病態を考える研究です。(4)リハビリの効果をさらに高める機材の開発と利用についてです。いずれも医師ではなく、学者が考え付いたモデルです、すごい。

(5)熱性けいれんの診療ガイドラインに基づくケア

上記も皆さんにお伝えしたい、のですが、書き出したら切りがないのでここで筆をおきます。日本の医学は本当に進歩しています。海外に引けを取らない、と言いますか、こんなに頑張っている人たちがいるなんて誇らしい、応援したいと思えました。

文才がなく、駄文で申し訳ありませんが、この文章をお読みになった方々が、明日への夢や希望、日本人としての誇りや自信を持ってくだされば幸いです。

 

それでは、不定期ではございますが、最先端の医療について今後も記載していこうと思いますのでよろしくお願い致します。最後までお付き合いくださいまして、誠にありがとうございます。

(了)

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