皆さん、こんばんは。糸魚川こどもクリニックの渡辺です。タイトルにもございます通り胃腸炎が糸魚川市内に猛威を振るっております。喉が渇いて水を飲みたいのに、水分を受け付けない、または吐いてしまう方々を見ていると本当に辛くなってしまいます。
さて、そこで今回は胃腸炎を発症されてしまった患者様・保護者の方々から受ける質問をまとめてみました。本ブログを通じて皆さんに胃腸炎がどのようなものか理解していただけますと幸いです。
1、感染性胃腸炎ですか?
上記が当院で最も多い質問です。ご存じの方も多いと思いますが、胃腸炎の原因は殆どが細菌やウイルス、または細菌の産生する毒素です。それらが胃や腸を通った後に便として排泄され、便を介して別の人(特に保護者や兄弟)にうつります。つまり、一部を除くほぼすべてが感染性胃腸炎と考えてください。例外としてはキノコやフグと言った毒、食べ過ぎによるもので、これらは人に感染することはありません。
2、保育園や学校はいつから登園・登校できるのでしょうか
この質問も多いです。と言いますのもインフルエンザや溶連菌感染症と違って、胃腸炎には分かりやすい登園・登校基準がありません。何故でしょうか。たとえば、感染性胃腸炎に代表されるロタウイルスやノロウイルスは、感染者の症状が落ち着いた後も居残り、便の中にウイルスが出てきます。その期間は、なんと1か月! もし「人に感染させてしまうかも知れないから、ウイルスが出て来なくなるまで休んでください」と言われてしまったら1か月も登園・登校できないと言うことになり、現実的ではありません。それ故に厚生労働省が提示している登園・登校基準は「おう吐、下痢がなく、普段の食事が摂取できること」となっています。しかし、厚労省のガイドラインより各保育園や幼稚園の基準の方が重要なようですので、まずはそちらに確認を取られた方が良いかも知れません。
3、水も摂れずつらそうなので点滴をしてください
早く治してあげたいというお気持ちは察しますが、実は点滴は効率的ではありません。点滴で100mlの水分を摂る場合と、口から100mlの水分を飲む場合、身体の中に入る水分には大きな差はありません。また、最上の命医に出て来るスーパードクターならいざ知らず、自分のような小心者の場合、まれに点滴が上手くいかないこともあります。注射針を用いる点滴はリスクや痛みを伴いますので、お辛いとは思いますが時間を掛けて匙を用いて少しずつ水分を摂らせていただけますと幸いです。ちなみに、ご家庭にあるスプーン(スープ類を召しあがるのに使うサイズ)であれば一杯5cc程度になり、(体重や便回数にもよりますが)1時間に50-100ccの水分が摂れれば十分です。
長くなってしまいまして申し訳ございません。また、最後までお付き合いくださった皆さん、誠にありがとうございます。
(了)