風しん抗体検査とクーポン券の使い方

皆さん、こんばんは。糸魚川こどもクリニックの渡辺です。本日は糸魚川市にございます当院でのクーポン券の使い方をご説明します。ただし、市町村、クリニックによって対応が異なりますのでご注意ください。当院では下記のような対応となります。イラストを用いた説明はこちらになりますのでご確認くださいませ → http://blog.itoigawa-children-clinic.jp/2019/05/20/

1.クーポン券と身分証明書を準備してクリニックに受診する

 ※クーポンがなくとも検査はできますが有料になりますので注意しましょう

2.受付窓口に検査を受けたい旨をお伝えし、書類を提出する

 ※診療時間内にお越しください、休日でも対応可能ですが診察料が発生することがございますのでご注意ください

3.受付窓口で問診票を受け取り必要事項を記入し提出する

 ※問診票の内容次第では抗体検査の必要が無いと判断される場合もあります

4.診察を受けて、検査結果を報告してもらうための予約を取る

 ※検査で抗体不足が判明した場合、当院で予防接種をするかどうかの確認も取ります

5.血液検査を行う

 ※アルコール消毒でアレルギー反応が起こらないかどうか教えてください

上記1~5が検査を行うまでの流れです。下記は検査結果を受けてからワクチンを接種するまでの流れをご説明します。

6.予約日に受診する

7.診察室で検査結果の報告を受ける

8.抗体価が十分であればそこで終了、抗体価が不足していれば予防接種を受ける

※予防接種を受ける時もクーポンが必要ですのでお忘れなくお願い申し上げます。もちろん、クーポンが無くてもワクチン接種はできますが有料となりますのでご注意ください

それでは、皆さんで風しんの抗体を持って、皆さん自身と皆さんの大切な人を守るためにもご協力をお願い申し上げます。

(了)

風しん抗体価検査について

皆さん、こんばんは。糸魚川こどもクリニックの渡辺です。突然市役所から届いたクーポン券、いったいなんのこっちゃと思われた方はいらっしゃらないでしょうか。本日はそのクーポンの説明を行いたいと思います。

ローバーミニを乗りこなすシティーハンターの冴羽亮は自分の憧れの人物でした

北条司のシティーハンターが起用されたこのポスターをご覧になられた方はいらっしゃいますか?これこそ、今回のクーポン券が大きく関わっているポスターです。そもそもなぜ男性だけに、なぜ特定の年代の方に配布されたのでしょうか。

・風しんと言う疾患をご存じでしょうか

風しんはかぜと同じような症状と発疹(ほっしん)が現れる感染症です。三日はしかとも呼ばれ、命を奪うこともある麻しん(はしか)と比べると軽症で自然に治ってしまう感染症です。風邪(かぜ)などとの区別が非常に難しく、診断を確定するには血液検査が必要になります。1960年頃までは殆どの方が小さい頃に発症するありふれた疾患でした。

・その風しんの何が問題なんでしょうか

確かに、何事もなく治ってしまう風しんよりもインフルエンザの方が恐ろしい感染症と思われます。しかし、風しんウイルスに感染して困るのはこれから生まれてこようとするあかちゃん(胎児)なのです。妊娠後、子宮で胎児が成長する途中、母親が風しんに罹患してしまうと胎児にも風しんウイルスが感染してしまいます。その結果、成長途中の胎児の心臓、目、耳に異常を来たし、生まれて来たあかちゃんに障害を引き起こしてしまいます。これらを先天性風しん症候群と呼びます(発達障害、発育遅延を合併することもあります)。この疾患自体の根本的な治療は現在の医療では残念ながらありません。

・先天性風しん症候群を予防するためにはどうしたらいいのでしょうか

風しんの抗体を持ち、風しんを発症させないことで予防することができます。従来は『女性のみ』が定期接種(風しんワクチン)をされ、妊娠が判明された場合に『女性のみ』風しん抗体検査をされて発症を防いで来ました。しかし、2012年を皮切りに風しんが大流行してしまってから、先天性風しん症候群に苦しめられる方が増えてしまいました。つまり従来の女性だけにがんばってもらう方針では予防に限界があることが明らかになったのです。そこで、厚生労働省は大流行時に風しんを発症された方の殆どが30代前後の男性で、ワクチン接種をされていない(または一度のみ接種)の世代だったことに着目し、対象者を絞って抗体検査、必要であればワクチンを接種するようにと方針を打ち出したのです(2006年以降は1歳、5歳の時に麻しん風しんワクチンを接種するのが定期化されましたので若い方の発症は殆どなくなりました)。

皆さんの身近にクーポンを受け取った方がいらっしゃる場合(可能であれば出産を希望されるお母さん、ワクチン歴が不明なご家族の皆さん)には抗体検査を勧めてあげてください。もちろん、当院でも検査は可能です。今も尚、先天性風しん症候群のために日常生活を営むのが大変な方々がいらっしゃいます。あなたとあなたの大切な人を守るために、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

(了)